2003年 ニュースリリース
3月25日 
2003年3月25日
日立金属株式会社
日立金属株式会社
ハロゲンフリーで高性能な
電磁波ノイズ抑制シートの開発と量産開始
----ソニーイーエムシーエス株式会社と共同開発----

ハロゲンフリーで高性能な電磁波ノイズ抑制シート
「アブソシールド® K-Eシリーズ」
日立金属は、この度、ソニーイーエムシーエス株式会社(東京都品川区)と共同で、ハロゲンフリーで環境にやさしく、高い難燃性と優れた特性を合わせ持った高性能電磁波ノイズ抑制シート「アブソシールド® K-Eシリーズ」を開発し、量産体制を整えましたので、お知らせいたします。
このシートはハロゲンを使用しないことによる性能の低下を防ぎ、従来の高性能を維持しながら、焼却してもダイオキシンを発生しない、画期的な製品です。
記
1.開発の経緯
近年、パソコンなどの電子機器の普及が加速し、機器が発生する高周波の電磁波ノイズの抑制が課題となっています。電子機器の高性能化に伴い、使用する周波数は年々高くなる傾向にあり、パソコンではCPUの駆動周波数はGHz帯に達しようとしており、無線LANやブルートゥースなどの通信機器の通信周波数もGHz帯が中心になってきています。このようなGHz帯のノイズ対策には、軟磁性材料と樹脂を混合しシート状に加工した電磁波ノイズ抑制シートが広く用いられています。当社では、高い透磁率*1を持った独自のナノ結晶軟磁性材料「ファインメット®」*2粉末と、樹脂を混合した電磁波ノイズ抑制シート「アブソシールド®」を製造、販売しており、その優れた特性から、高い評価をいただいております。
一般に、電気・電子機器では、火災安全上の問題から難燃性が強く求められます。電磁波ノイズ抑制シートでは、発熱により発火しやすい金属粉末を用いることから、通常、難燃性を持つハロゲン系元素*3を含んだ樹脂と混合しています。このハロゲンは、焼却条件によってはダイオキシンを発生する可能性があり、昨今の環境意識の高まりから、環境にやさしいハロゲンフリーの製品が、強く求められていました。
当社では、このような市場の要求に応えるため、ソニーイーエムシーエス株式会社と共同で、金属粉末と混合しても難燃性を確保できるハロゲンフリー樹脂を探究するとともに、その配合の最適化を進めてきました。その結果、従来の「アブソシールド®」の優れた電磁波ノイズ抑制特性を維持しつつ、ハロゲンフリーと難燃性を兼ね備えた「K-Eシリーズ」の開発に成功し、量産体制を整えるとともに、サンプル対応を開始いたしました。
当社の調べでは、ハロゲンフリーと難燃性を兼ね備え、優れた電磁波ノイズ抑制特性を持つ業界初の製品であり、今後、情報家電・通信分野への展開が期待できます。
今後も当社の高い素材技術力をベースに、地球環境にやさしい製品の開発を積極的に進めてまいります。
2.製品の概要および特長
当社独自のナノ結晶軟磁性材料「ファインメット®」の粉末を、ハロゲンフリーの樹脂と混合し、これに難燃性を持たせた高性能電磁波ノイズ抑制シートで、次の特長を持つ。| |
1) | ハロゲンフリーで、地球環境にやさしい。 |
| 2) | 難燃性規格 UL94 V-0*4認証取得済(UL File No.E210819)。 | |
| 3) | 磁気特性・ノイズ抑制性能は当社従来品と同等。 | |
| 4) | フレキシブルで取り扱いが容易。 | |
| 5) | 各種形状への切断加工が容易。 |
3.標準仕様
| 1)寸法 | 210mm × 297mm | ||
| 2)厚さ | 0.25mm、0.50mm | ||
| 3)磁気特性 | 複素比透磁率*5 | 実数項μr':7.5以上(1GHz) | |
| 虚数項μr":8.0以上(1GHz) | |||
| (長尺ロールタイプ、打ち抜き品にも対応可能) | |||
4.用途
パソコン、デジタルカメラ、カーナビゲーションなど各種電子機器。各機器のフラットケーブル、IC上部、回路基板間、液晶表示部、筐体内壁などに貼りつけることにより、基板と部品間の輻射ノイズによる干渉、機器外部への放射ノイズを低減。
5.特許
関連特許15件出願済(3件登録)6.販売計画
2003年度 5億円2004年度 12億円
2005年度 20億円
7.製造及び販売
製造:ファインメット事業推進部FM工場(鳥取県鳥取市)販売:ファインメット事業推進部
8. その他
4月16日(水)〜18日(金)に、幕張メッセ(日本コンベンションセンター)にて開催されます「第16回EMC・ノイズ対策技術展」に出展参加し、本製品などの展示・紹介を行います。(展示ホール8 ブースNo.5403)以 上
この件に関するお問い合わせ先
| 【報道に関するお問い合わせ】 | 広報室 | 担当 小林 TEL03-5765-4079 |
| 【商品に関するお問い合わせ】 | ファインメット事業推進部 | 担当 目黒 TEL03-5765-4055 |
(用語説明)
*1 透磁率
透磁率μ = 磁束密度B / 磁界の強さH
軟磁性の評価指標で、外から与えた磁界に対する磁化のし易さを示す。透磁率が大きいほど、小さな磁界で大きく磁化し、特性は良好である。
*2 ファインメット®
日立金属オリジナルの世界で初めて開発されたナノスケールの超微細結晶構造をもつ高性能軟磁性材料。(1)高透磁率(磁化されやすい)、(2)高磁束密度(強く磁化する)、(3)低損失(発熱が少なくロスが小さい)などの特長を持つ。
*3 ハロゲン系元素
ハロゲン(halogen)とは元素周期表のVII族・Bのフッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)の総称。ハロゲンのガスも有害だが、ハロゲンから生成するオキシハロゲン化合物の中には、ダイオキシンなど環境に深刻な悪影響を及ぼす物質がある。
*4 UL94 V-0
UL(Underwriter's Laboratories Inc.)はアメリカの全国火災保険業者会議が,1894年に設立した非営利法人で、最も権威のある安全試験及び製品検定証明機関。UL規格の多くはANSI(アメリカ国家規格)としても登録され、重視されている。
UL94は材料の難燃性の尺度として広く用いられており、その等級は強い方から5VA,5VB,V-0,V-1,V-2,HBである。
*5 複素比透磁率
複素比透磁率 μr = μr' - jμr"
交流磁界では、磁束密度が磁界の変化に追いつかず磁界波の位相が遅れるため、透磁率の実数項μr'と虚数項μr"に分けて考える。実数項μr'は磁界と同じ位相の磁束密度成分に関するもので、虚数項μr"は位相の遅れを含む指標で磁気エネルギーの損失分に相当する。特に高周波では、虚数項μr"が高いほどノイズ抑制効果に優れる