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ニュースリリース 2004年


2004年11月30日
日立金属株式会社

画期的な次世代冷間ダイス鋼を開発・販売

―――お客様のトータルコスト低減と納期短縮を追求した新・金型材料―――

 日立金属株式会社(本社:東京都港区、社長:本多 義弘、以下 日立金属)は、モノづくりの ノウハウを結集した、次世代冷間ダイス鋼(商標名:SLD-MAGIC™)を開発、販売を開始いたします。金型の寿命を向上させるとともに、金型のつくりやすさを画期的なレベルで実現することで、日立金属は、自動車業界・金型業界のトータルコスト低減と納期短縮に貢献してまいります。


1.背景および概要

  自動車業界では、地球環境の保護や衝突安全性の確保という観点から、車体の軽量化や剛性の向上が急速に進められており、高張力鋼板(以下 ハイテン)※1の使用比率が高まっています。しかし、ハイテンは強度が高いため、プレス成形する際に金型にかじり※2や摩耗が起きやすいという課題がありました。
 一方、金型業界においては、アジア諸国との競争を勝ち抜くために、金型製作におけるコストダウンや納期の短縮が必要となっており、削りやすく、熱処理や表面処理による寸法の狂いが少ない金型材料の開発が望まれてきました。
 この自動車業界、金型業界双方のニーズを満たすために、日立金属では100年を超える歴史を持つ高級特殊鋼のモノづくりのノウハウを結集し、従来材(冷間ダイス鋼SKD11・SKD11改良鋼※3)の特性を超える、画期的な次世代冷間ダイス鋼を開発いたしました。
 次世代冷間ダイス鋼「SLD-MAGIC™」は、金属成分の最適な添加による合金設計を行うことにより耐摩耗性、被削性双方の特性を得るとともに、熱処理による寸法変化や表面処理性、靱性※4、溶接性についても従来材を上回る特性を実現しています。
 金型寿命の向上と、金型のつくりやすさを今までにないレベルで実現した、この画期的な次世代ダイス鋼の使用により、自動車業界の金型寿命の向上および金型業界の加工工程の短縮が可能となります。
 これにより、日立金属は、冷間プレス用の金型製作に携わるお客様から、プレス成型品の製造に関わる全てのお客様のトータルコスト低減と納期短縮を図るとともに、付加価値向上に貢献してまいります。

2.特長

(1)耐摩耗性: 最高硬さ62HRC(3.(2)参照)※5で、耐摩耗性を約35%向上(当社比※6
⇒ 金型寿命の大幅な向上
(2)表面処理性: 表面処理(CVD法※7など)の密着性が約30%向上(当社比)
⇒ ハイテンの曲げ・絞り時などのかじりを防止
(3)熱処理特性: 熱処理による変化のばらつきを少なくし、寸法変化量も約40%低減(当社比)
⇒ 材料取り※8の影響が少なく、熱処理や表面処理後の手直し工数を低減
(4)被削性: 被削性が約35%向上(当社比、切削工具摩耗量で評価)
⇒ 加工能率向上により、金型加工時間を短縮
⇒ 切削工具の寿命が向上し、治工具などの直接購入費を低減

3.特性

(1)特性比較
特性比較

(2)硬さ

表:硬さ(HRC)
SLD-MAGIC™ SKD11 8%Cr鋼(SKD11改良鋼) 10%Cr鋼(SKD11改良鋼)
60-62 58-60 61-63 59-61

4.用途

(1) 高張力鋼板(ハイテン)、ステンレスなど難加工成形用の金型
(2) 表面処理を必要とする金型
(3) 短納期を要求される金型
(4) その他冷間加工用一般工具 など

5.商標

  SLD-MAGIC™ (エスエルディー・マジック)
 略称:S-MAGIC™ (エス・マジック)

     :Materials Magic's マテリアルマジックで
  :Advanced 先進的な
  :Gratifying 満足を与える
  I :Innovative 革新的な
  :Cold working die steel 冷間ダイス鋼

6.特許出願件数

  国内外に4件出願中

7.販売計画

  販売開始予定 2005年4月  
  販売金額 2005年度:10億円/年  
      2006年度:20億円/年  

8.製造および販売

  製造:特殊鋼カンパニー 安来工場(島根県)
 販売:特殊鋼カンパニー
以  上

【お客様からのお問い合わせ】
 特殊鋼カンパニー   TEL03−5765−4410
【報道機関からのお問い合わせ】
 コミュニケーション室 担当 南 TEL03−5765−4079



ご参考

【用語解説】

※1  高張力鋼板(ハイテン)
ハイテンとはHigh Tensile Strength Steel Sheetsの略称で、引張り強さが高い鋼板のこと。
自動車用冷延鋼板では、普通鋼板が強さ270MPa(メガパスカル 応力の単位)以上に対し、ハイテンは強さが340MPa以上として規定されている。実用的には、強さ440〜580MPaのものが中心に使用されているが、一部、強さ980MPa以上の超ハイテンと呼ばれる鋼板も使用され始め、車体部品の軽量化や剛性の向上がより一層可能となった。一般に、強さが上がるほど加工成形性が低下するため、金型のかじりや摩耗が起きやすくなる。

※2  かじり
成形金属が金型に少量付着したもので「焼付き」とも呼ばれる。金属を金型でプレス成形すると、摩擦熱によりかじりが発生することがある。金型に付着した金属は、付着力が強いため、そのまま成形を続けてゆくと付着物が積層され大きく成長する。その状態でプレス成形すると、成形金属の表面に引っ掻いたようなキズをつくるため製品価値を失ってしまう。

※3  冷間ダイス鋼SKD11、SKD11改良鋼
冷間金型用鋼のひとつに分類される。自動車部品やデジタル家電や精密機器部品等を製造するプレス金型には、冷間ダイス鋼SKD11(1.5%C-12Cr系)の他、SKD11改良鋼が広く使用されている。改良鋼は被削性を改善するため、鋼中に含まれている硬質な炭化物の量を減少させ加工性を良くしているが、耐摩耗性やかじり性に関してはSKD11に劣るという欠点がある。また、熱処理や表面処理における寸法変化のバラツキが大きいため、その修正に費用や工数が大きくなるという問題点もあった。

※4  靱性
材料の粘り強さ。靱性が高いと力が加わったときに破壊されにくい。

※5  HRC
硬さの単位。「ロックウェル硬さ」とも言われる。HRCは、Hardness Rockwell C scaleの略したもの。円錐形ダイアモンド製の圧子を測定試料に押し込むことにより、くぼみの永久変形量を測定する手法。プレス成形用の金型は、強さを上げるため一般的に熱処理により硬さを上げて使用されることが多い。

※6  当社比
SKD11改良鋼である8%Cr鋼(当社商品名:SLD8)との比較。

※7  CVD法
CVDとは、Chemical Vapor Deposition の略称で、化学蒸着法といわれる表面処理技術。高温に加熱された材料表面で、同時に導入された反応ガスと熱化学反応させることにより、硬質のセラミックス皮膜をコーティングする手法。一般に、自動車部品の曲げや絞り成形で生じるかじり(焼付き)や早期摩耗の対策として、金型に処理される。

※8  材料取り
顧客の必要なサイズに切り売りするために切断すること。一般に材料を取る方向により鋼材の特性が変わることがあるため、熱処理をした後、寸法変化にバラツキを生じる要因となる。


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