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改革の中心に、新しい力を。

取締役名 代表執行役 執行役社長

PROFILE

取締役名 代表執行役 執行役社長

1985年、新卒入社。磁性材料研究所へ配属されたのち、安来工場に異動。その後、特殊鋼カンパニープレジデント、技術開発本部長などを歴任。2017年4月、社長就任。

世界で、ここだけのハーモニー。

1990年代のこと。島根県の安来工場にエンジニアとして勤務していた私は、とても印象深い経験をしました。当時、私が立ち上げたのは液晶用のターゲット材。テレビといえばブラウン管が主流で、安来工場でもブラウン管用のシャドーマスク生産が花盛りの時代です。それに比べて、ターゲット材は亜流中の亜流。ほとんど誰もが、ブラウン管の隆盛が続くことを信じて疑いませんでした。ところがある日、状況は一変しました。液晶が主役に躍り出て、またたく間にブラウン管が失速したのです。シャドーマスクの需要がみるみる減っていく危機を救ったのは、ほかでもないターゲット材でした。

これは安来工場で起きた出来事ですが、日立金属という企業を示す縮図のようなエピソードでもあります。さまざまな分野でトップクラスの製品群を持つことで、時代の潮流に揺らがない企業であり続けていく。たとえばいま、自動車業界には電気自動車という新たな潮流が生まれつつあります。モーターで走る電気自動車がやがて主流になった時、日立金属は磁性材料と電線材料によって深く入り込むことができる。ガソリンエンジンの時代がまだまだ続いたとしても、世界的に実績のある鋳造部材で引き続き支えていくことができる。一見バラバラに見える製品群が束ねられた時、とてもユニークなハーモニーを生み出す。それこそが、世界でもほかに類を見ない、日立金属の強さです。

カンパニー制に、横串を。

日立金属の大きな特徴のひとつが、カンパニー制です。事業分野ごとに独立独歩の体制を貫くことで、よりスピーディな意思決定と質の高い経営が可能になります。その一方で、横の交流が限定されてしまう課題も見えてきました。この課題を解決するために、人と技術の両面から横串を通すための改革が始まっています。その象徴が、2017年4月、新たに設立したコーポレート研究所「グローバル技術革新センター GRIT」。10年後、20年後を見すえた新事業創生をコアに、これまで5つの研究所で分野ごとに取り組んできた先端技術や生産システム等の特定の領域についての英知を結集し、開発を加速させていきます。私はこの「GRIT」に、教育の舞台としても期待をかけています。たとえば、技術系の新入社員はまず「GRIT」に配属され、最先端の環境で知識と技術を磨いた上で、各現場へ羽ばたいていく、そんな仕組みはできないか。まだまだ検討段階ではありますが、そんな将来も描いています。

横串を貫くという姿勢は、もちろん営業においても同じです。これまでは所属するカンパニーの違いが壁となって、営業全体に製品知識が行き渡りにくいという課題がありました。しかし、先に挙げた電気自動車のように、カンパニーの枠を超えることでさらに手厚く貢献できる産業分野がいくつも存在します。カンパニー制のよさをきちんと継承しながら、知識の交流や価値観の統一を進め、会社全体としてお客様に向き合う体制を整えていく。より大きな視野に立った営業活動は、一人ひとりのやりがいをも大きくしていくはずです。

人も、モノも、「質の量産」。

私が日立金属に入社してから約30年。会社は大きく飛躍しました。連結社員数は3万人に近づき、2018年度中期経営計画においては、調整後営業利益1000億円超を視野に入れています。それでもなお変わらないのは、一人ひとりの顔がとてもよく見える企業だということ。カンパニー制に象徴されるように、日立金属は小さなプロフェッショナル集団の集合体です。だからこそ、歯車は一人もいません。私自身、各分野のキーマンはもちろん、新入社員の顔もよく覚えています。これほどの事業規模を誇る企業としては、めずらしい例と言えるのではないでしょうか。

材料の世界は、常に過渡期です。目下の話で言えば、さまざまな産業で一大テーマとされている軽量化に貢献するため、金属だけではなく多様な材料に目を向けていく必要があります。これまでの常識がリセットされるような転換が起こった時、誰よりも早くそれに馴染み、活躍できるのは、まさにこれから入社する「新しい人」だと確信しています。開発にあたる材料系エンジニアはもちろん、モノづくりを託される機械系、電気・電子系エンジニア、世界へそれを行き渡らせる営業・生産管理、さらにそれらの従業員を支える総務・財務・調達などのコーポレート部門のスタッフ。そのどれひとつとして、「新しい人」が欠けては成り立ちません。

日立金属が大切にしてきたDNAのひとつに「質の量産」という言葉があります。モノづくりを指す言葉ですが、同時に人づくりにも当てはまります。強い組織には、強い個が不可欠。これからも、一人ひとりの個性と向き合い、それぞれの強さを引き出すことで勝利を重ねる「戦う集団」を、私自身が先頭に立ってつくりあげていきたいと思います。